【陶山神社】明神鳥居
- 文化・教育施設
焼き物の町として400年以上の歴史を誇る佐賀県有田町。そのシンボルとも言えるのが、陶祖・李参平を祀る陶山神社に佇む、すべてが磁器でできた純白の明神鳥居です。
この鳥居が建立されたのは1888年のことです。有田の陶工たちが、自分たちの誇りである「焼き物」の技術をもって神への感謝と町の繁栄への祈りを形にしたいと願い、奉納しました。焼成時に収縮するという磁器の性質を乗り越え、巨大な鳥居を歪みなく完成させることは至難の業であり、これは当時の職人たちの情熱と、有田焼が培ってきた最高の技術力の結晶でした。
淡い青の顔料「呉須」で描かれた繊細な唐草模様が白磁の肌に映え、その優美な姿は訪れる人々を魅了し続けています。境内には同じく磁器で作られた狛犬や灯籠なども点在し、その歴史的価値から国の登録有形文化財にも指定されています。また、鳥居のすぐそばをJR佐世保線の電車が走り抜ける光景は、全国的にも大変珍しいものとして知られています。
建立から130年以上の時を経て、町の誇りを体現し続けるこの鳥居を守り、その技術と想いを伝えてきたすべての方々に深い敬意を表します。
(2025年10月執筆)
PHOTO:写真AC