上越市立三郷小学校 閉校
- 文化・教育施設
新潟県上越市三郷地区に位置する市立三郷小学校は、1873年に寺院を仮校舎とする「天野原新田小学校」としてその歩みを始めました。1884年には、地元出身で上越教育の父とも称される渡部健蔵氏が私財と土地を提供して校舎建設に貢献するなど、古くから地域住民の献身的な支援に支えられてきた学び舎です。
当校は単なる教育機関にとどまらず、地域コミュニティの核として機能してきました。特筆すべきは、この地区に100年以上伝わる民俗芸能「春駒」の伝承活動です。地域住民で構成される保存会の指導のもと、児童たちが地域の風習を体得し、文化祭で披露することが長年の伝統となっていました。
しかし、時代の流れとともに少子化の影響は避けられず、1949年のピーク時には333人を数えた児童数も、2025年度には44名まで減少しました。このため、2026年3月をもって閉校し、翌4月より南本町小学校へ統合されることが決定しました。
歴史の幕を下ろす最後の1年となる2025年には、152年の歩みを締めくくる記念事業が数多く企画されました。PTA主導による「学校宿泊イベント」や、地区と合同での最後の運動会など、地域一丸となった心温まる取り組みが展開されました。11月8日に挙行された閉校記念式典では、渡部氏の功績や学校の歴史を刻んだ記念碑の除幕に加え、例年は3年生が担う「春駒」を全校児童で演舞し、万雷の拍手に包まれました。これまでに巣立った約3万人の卒業生と、長きにわたり地域の教育の灯を守り続けた運営関係者の皆様に深く敬意を表します。学び舎での懐かしい記憶や友との絆が、皆様の心の中でいつまでも輝き続けることを願われます。
(2025年12月執筆)







