桑名市石取会館
- 文化・教育施設
桑名市石取会館は、1925年に四日市銀行桑名支店として誕生した、大正ロマンの面影を今に伝える近代建築です。戦前の銀行建築の様式を色濃く残すこの建物は、その後、桑名信用金庫本店としても利用され、地域の経済を支えました。
1991年に桑名市へ寄贈され、銀行としての役目を終えた後、1992年に新たな使命を帯びて生まれ変わりました。それが、ユネスコ無形文化遺産にも登録された「桑名石取祭」を紹介する「石取会館」です。館内には江戸時代末期製作の絢爛豪華な祭車が展示され、祭りの熱気を一年を通して伝えています。建物自体も2011年に国の登録有形文化財となり、有形と無形の文化遺産が共存する貴重な空間です。市民や観光客にとって、桑名の誇りである祭りの歴史と文化に触れることができる大切な拠点となっています。
長きにわたりこの建物を守り、祭りの伝統を未来へつなぐ運営関係者の皆様に深く敬意を表します。その重厚な扉の向こうからは、今にも祭囃子の音色が聞こえてくるかのようです。是非一度当地に足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
(2025年6月執筆)
PHOTO:PIXTA