松阪市立松ケ崎小学校 閉校
- 文化・教育施設
三重県松阪市松崎浦町の海辺に位置する松阪市立松ケ崎小学校は、約150年にわたり、この沿岸地域の教育文化を支えてきた歴史ある学舎です。校舎の窓からは海を望むことができ、古くから漁業や港湾に関連する生業を持つコミュニティのアイデンティティを育む拠点となってきました。
当校の歴史は、1875年12月3日、「松崎学校」として松崎浦の地に設立されたことに始まります。当初の通学区は松崎浦と松ヶ島の二区で構成されており、地域固有の教育拠点としての役割を担ってきました。その後、日本の教育制度の変遷に対応し、幾度か名称を変更しつつ、1954年10月15日に松阪市との合併を経て、松阪市立松ケ崎小学校となりました。創立から100年目となる1975年12月3日には記念事業が実施されています。
近年、全国的な課題である少子化や、より質の高い教育環境の最適化という行政的目標に対応するため、当校の歴史は大きな転機を迎えます。児童数の変動に対応するため、2015年4月1日には複式授業が開始されましたが、松阪市は米ノ庄小学校との統合(学校再編活性化)を推進しています。この統合により、松ケ崎小学校は2026年4月1日に開校予定の新しい統合校へとその機能を継承することになります。地域の行政的終結の節目となる閉校式典行事は、準備委員会のもと、2026年3月に実施される予定です。統合プロセスにおいては、地域住民や保護者、行政が参画する「学校活性化協議会」が組織され、統合校の校名や文化的アイデンティティの決定が進められてきました。また、当校が長きにわたり蓄積してきた沿革史や記念品などの歴史的遺産は、2026年3月に向けて集約・保管、移管、整理されるという厳格な行政管理のもと、未来へ継承されることになっています。松阪市教育委員会による、約150年にわたる歴史的連続性を尊重しつつ、厳格かつ透明性の高い行政管理のもとで再編活性化を推進されることに敬意を表します。
この海辺の学舎で、かけがえのない青春を過ごされたすべての卒業生、そして教育活動を支えてこられた教職員、関係者の皆様におかれましては、校歌や潮風が運んだ思い出の数々を、この歴史の節目にどうか心ゆくまで振り返ってみてはいかがでしょうか。
(2025年8月執筆)







