松阪公園プール 閉鎖
- 娯楽施設
三重県松阪市の中心、松坂城跡が佇む松阪公園の一角で、長年市民に愛されてきた松阪公園プールが、2025年8月31日をもってその歴史に幕を下ろします。
このプールは1993年、「市民の健康増進」を目的として開設されました。25mプール、幼児用プール、そして子供たちに大人気だったウォータースライダーを備え、家族連れや友人同士で集う夏の憩いの場として、瞬く間に地域の夏の風物詩となりました。城跡の石垣を望むユニークなロケーションは、多くの市民にとって特別な思い出の舞台でした。
しかし、30年以上の歳月を経て施設の老朽化が進行。市の「スポーツ施設長寿命化計画」において、施設の安全性や機能性が低いと評価されたことが、閉鎖の直接的な原因となりました。また、跡地は中心市街地の駐車場不足を解消するための駐車場として整備される計画で、プールの引退は、都市の未来を見据えた戦略的な判断でもあります。その長い歴史への感謝を込めて、営業最終日を含む2025年8月29日から31日までの3日間は、「サンクス無料開放」として最後の営業が行われたようです。
32年もの間、子供たちの歓声を響かせ、数えきれない笑顔を育んできた松阪公園プール。その運営に携わったすべての方々へ心からの敬意を表します。照りつける太陽の下、水しぶきを上げて笑い合ったあの夏の日々を、どうかもう一度思い出してみてください。プールは姿を消しても、そこで生まれた温かい記憶は、私たちの心の中で永遠に輝き続けることでしょう。
(2025年9月執筆)
PHOTO:PIXTA