兵庫県立伊川谷高等学校 閉校
- 文化・教育施設
緑豊かな大地に産声を上げた学び舎
昭和51年(1976)4月9日、兵庫県立伊川谷高等学校は地域の期待を背負って産声を上げました。開校当初は校舎が未完成だったため、隣接する神戸市立長坂小学校の教室を借りて入学式が行われ、181名の第1回生が緊張と高揚感の入り混じる中で第一歩を踏み出しました。同年8月には、完成したばかりの新校舎への移転が完了。コンクリートの匂いが漂う真新しい教室からは、伊川谷ののどかな田園風景が一望できました。5階建ての立派な特別教室棟や、後に完成する活気あふれる部室棟など、充実した施設は生徒たちの夢を育む土壌となり、半世紀近い歴史の礎を築いたのです。
彩り豊かな才能と温かな絆
放課後の校内には、20室を備えた部室棟から溢れる歓声や、プールに飛び込む瑞々しい水音が響き渡っていました。平成2年(1990)に刷新された制服は、伊川谷駅やバス停周辺を彩る新しい象徴として地域に親しまれました。文化や芸術の第一線で活躍する多彩な卒業生を輩出した自由な校風は、生徒一人ひとりの個性を尊重してきました。手書きの「はがき新聞」作りや、近隣の小学生との部活動交流といった活動を通じ、デジタルな時代にあっても失われない「心の通い合い」を大切にする校風が、この学び舎には脈々と流れていたのです。
時代の変遷と発展的統合への道
時代の潮流を受け、令和4年(2022)7月14日に兵庫県立伊川谷北高等学校との発展的統合が発表されました。平成7年(1995)の兵庫県南部地震という困難を乗り越え、防災教育を柱に地域と歩んできた同校も、少子化の影響により単独校としての歴史に幕を下ろすこととなりました。西暦2025年には最後の文化活動や、弁理士を招いた知的財産に関する特別授業が行われ、3年生186名が活気に満ちた学びの時間を共有しました。そして同年、兵庫県立神戸学園都市高等学校としての新たな門出を迎え、学びの場は次のステージへと移り変わったのです。
「自主・協同」の精神を未来へ
昭和51年(1976)の創立以来、数多の若者たちが駆け抜けた伊川谷高等学校の歴史は、今ここに一つの区切りを迎えました。しかし、長きにわたり校訓として掲げられてきた「自主・協同」の精神は、決して消え去ることはありません。それは、新設された校舎で学ぶ後輩たちの志の中に、そして全国で活躍する卒業生たちの胸の中に、形を変えて生き続けています。半世紀にわたり学び舎を支え、慈しんできたすべての関係者の方々に深い敬意を表します。この美しい伊川谷の地で育まれた青春の記憶が、未来を照らす確かな光となることを願ってやみません。
(2026年3月執筆)
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