山添村立東豊小学校 閉校
- 文化・教育施設
山添村立東豊小学校(奈良県山辺郡山添村岩屋2665-1)はかつて奈良県にあった小学校。1898年5月に東豊尋常小学校として創立され、1998年に創立100周年を迎えた長い歴史を持つ学校です。大和高原の豊かな自然に抱かれた山添村。その歴史は古く、縄文の時代から人々が暮らしを営んできました。この地に根差した学び舎の一つが、山添村立東豊小学校です。1956年の山添村誕生以前は旧豊原村の教育を担い、村の基幹産業である大和茶の茶摘みや、神野山の自然に親しむ「ふるさと学習」を通じて、地域文化の継承に大きな役割を果たしました。子どもたちの元気な声が響く校舎は、まさに地域の誇りの象徴でした。
しかし、少子化という時代の大きな波は、この小さな学校にも及びます。村が未来への存続をかけて進めた学校統合計画の一環として、東豊小学校は2002年に多くの人々に惜しまれながらその歴史に幕を下ろしました。
学び舎から子どもの姿は消えましたが、物語は終わりませんでした。閉校後、校舎は地域住民の熱意によって「東豊ベース」という新たな交流拠点として生まれ変わります。マルシェやイベントが開催され、かつての賑わいが戻ってきました。閉校は一つの時代の区切りでしたが、それは同時に、地域の絆を再確認し、新たな価値を創造する出発点ともなったのです。この学び舎を支えてこられた山添村、そして教育に情熱を注がれた先生方に深く敬意を表します。卒業生の皆様の心には、茶畑の香りや友との語らい、温かく見守ってくださった先生方の笑顔が、今も鮮やかな思い出として息づいていることでしょう。
(2024年8月執筆)
美しい営みを永遠に記憶したいものです。
PHOTO: 廃校5000 様