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多治見修道院 解体か

  • 文化・教育施設

多治見修道院は、岐阜県多治見市に位置し、1930年にカトリック神言修道会の日本管区本部修道院として、ドイツ人のモール神父によって設立されました。当初は日本人司祭や修道士の育成を目的とし、外国人宣教師たちが日本語を学びながら修道生活を送り、全国各地へキリスト教の宣教に派遣される拠点となっていました。1948年には敷地内のカトリック多治見教会が一時移転しましたが、1978年には再び修道院の敷地内に戻りました。1962年には神言修道会の本部が名古屋市へ移転し、多治見修道院は神学生や修道者の修練の場としての役割を担い続けました。また、1989年には研修センター(後に閉鎖)が完成し、信徒や学生、一般市民にも広く開放され、地域の憩いの場として親しまれてきました。

この修道院はバロック様式の木造建築で、広大なぶどう畑を有し、1933年からは自家製ワインの醸造も行われてきました。戦時中には物資不足の中、全国の教会へミサ用ワインを供給するなど、独自の役割を果たしてきました。現在もその伝統は受け継がれ、敷地内のぶどうは社会福祉法人によってワインの原料として活用されています。

多治見修道院は日本を代表する修道院の一つとして、長年にわたり多治見市民や訪問者の心の拠り所、また地域の象徴的存在となっています。しかし、築95年を迎えた建物は深刻な老朽化に直面しており、所有する神言修道会日本管区は解体の方針を固めています。一方で、地域住民や観光協会は保存活動や寄付金募集、イベント開催などを通じて存続への道を模索しています。

長きにわたり多治見修道院は、静かな祈りの場として、また市民の思い出の場所として多くの人々に愛されてきました。運営に携わる方々の尽力に深く敬意を表すとともに、訪れた人々の心に残る多治見修道院の風景や歴史が、これからも語り継がれていくことを願わずにはいられません。

(2025年6月執筆)

PHOTO:写真AC

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