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【三国港】眼鏡橋

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福井県坂井市三国町、えちぜん鉄道三国芦原線の終点「三国港駅」の南側(駅の直前)に、静かに時を刻むレンガ造りのアーチ橋があります。通称「眼鏡橋」と呼ばれるこの橋は、国有鉄道三国線が三国港まで延伸された1913年(大正2年)に竣工しました。かつて北前船交易で繁栄した三国湊ですが、明治時代に入り鉄道が敷設されると、物流の主役は海運から陸運へと移り変わっていきました。この橋は、そうした時代の転換期に、当時の国鉄三国線の線路を跨ぐ道路橋として建設されたものです。

構造上の最大の特徴は、下を通る線路に対して橋が直角ではなく、斜めに交差している点にあります。斜めのアーチにかかる力を均等に分散させるため、トンネル内部のレンガをらせん状にねじって積む「ねじりまんぽ」(斜架拱)という特殊かつ高度な技法が用いられています。アーチの端部が鋸の歯のようにギザギザに仕上げられているのはこの工法の構造上必然的に生じる意匠であり、スパンドレル(壁面)の石積みと共に重厚な美しさを醸し出しています。2004年7月には、その希少性と歴史的価値から国の登録有形文化財に登録されました。建設から100年以上を経た現在も、地域住民の生活道路として現役で使用されており、三国港の近代化を支えた土木遺産として重要な位置づけにあります。

一世紀を超えてこの貴重な遺産を大切に保存し、地域の歴史的景観を守り続けている坂井市および関係者の皆様には、深く敬意が表されます。歴史や土木技術に関心のある方は、近隣の三国港突堤やレトロな駅舎とともに、レンガ一つひとつに込められた職人の技術と港町の歴史ロマンを、ぜひ現地で感じてみてください。

(2025年12月執筆)

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