細倉鉱山
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宮城県栗原市にあった細倉鉱山は、1200年以上の歴史を持つ、かつて日本を代表する鉛亜鉛鉱山でした。最盛期には岐阜県の神岡鉱山に次ぐ規模を誇り、日本の近代化に大きく貢献しました。
奈良時代から採掘が盛んだった細倉鉱山は、江戸時代には仙台藩の財政を支える重要な鉱山として繁栄。明治時代に入り近代化技術が導入されると、採掘量は飛躍的に増加し、1897年には日本初の民間事業会社による鉱山経営も始まりました。
1950年代から1960年代にかけて最盛期を迎えた細倉鉱山は、年間約20万トンの鉛鉱石と約10万トンもの亜鉛鉱石を産出しました。しかし、その後は鉱脈枯渇や資源価格の低下により採掘量が減少し、その後1987年に閉山しました。
細倉鉱山は、日本の近代化に貢献した貴重な産業遺産です。2007年には経済産業省の近代化産業遺産群に選定され、鉱山関連の遺構が良好に保存されています。そして坑道の一部は観光用途に整備され、観光拠点としての新たな役割を担っています。閉山後もなお、歴史と文化を伝える重要な場所として活躍している細倉鉱山。ご興味のある方は一度現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。在りし日の営みをきっと感じ取れるはずです。
(2024年1月執筆)
現在は観光拠点として活躍しています。
PHOTO:PIXTA