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史跡 尾去沢鉱山 一般公開終了

  • 文化・教育施設

秋田県鹿角市に位置する尾去沢鉱山は、1300年以上の長大な歴史を持つ日本最大級の鉱山跡です。その始まりは伝説では708年とされ、産出した金は奈良の大仏や平泉の金色堂にも使われたと伝えられています。

記録上では1598年に南部藩が金山として開発を始め、後に銅の採掘が中心となり、江戸時代には幕府の重要な輸出品として日本経済を支えました。明治時代に入ると、政府高官による汚職事件の舞台となりましたが、その後は三菱の経営下で急速に近代化が進み、日本の産業発展に大きく貢献しました。しかし、1936年には鉱滓ダムの決壊により362名が犠牲となる大災害も経験しています。第二次世界大戦後の復興期にも重要な役割を果たしましたが、銅価格の低迷と資源の枯渇により、1978年に惜しまれつつ閉山しました。その4年後には観光施設として再出発し、2007年には「近代化産業遺産」に認定され、日本の産業史を学ぶ貴重な場として親しまれてきました。

この「史跡 尾去沢鉱山」は、2025年度末をもって一般公開を終了し、2026年度からは教育旅行専用の施設へ移行することが発表されています。一般の観光客が自由にその歴史に触れられる機会は、間もなく幕を閉じます。

この壮大な産業遺産を維持し、その価値を今日まで伝えてくださった運営関係者の皆様の長年のご尽力に、心からの敬意を表します。静寂に包まれた坑道に足を踏み入れるとき、そこに刻まれた幾多の人々の営みの記憶が、私たちに静かに語りかけてくるようです。是非一度当地に足を運んでみてはいかがでしょうか。

(2025年8月執筆)

堂々たる歴史の閉幕が近づいております。

PHOTO:PIXTA

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