松島火力発電所 休廃止
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松島火力発電所が2024年度末をもって稼働停止します。松島火力発電所は、日本のエネルギー政策に大きな影響を与えた画期的な施設です。1981年に長崎県西海市松島で運転を開始し、海外から輸入した石炭を日本で初めて大量に使用する大規模発電所として知られます。
この発電所は、1970年代のオイルショックを背景に、エネルギー源の多様化と安定供給を目指して建設されました。当時としては革新的な110種以上の海外炭混焼技術や50万kWタービンの採用、超臨界圧蒸気による高効率など、当時最先端の技術に挑戦し実用化を実現した発電所であることも特筆されます。松島火力発電所の成功は、世界各地での海外炭専焼火力発電所の建設につながり、アジア太平洋地域に石炭貿易の一大サプライチェーンを生み出しました。
現在も地域の大切な電力供給元として活躍中ですが、CO2排出量も大きく、昨今の環境保護の世界的潮流の元、その廃止が正式決定されました。そして既に策定された「GENESIS松島」の元、日本の脱炭素社会の「起源の地」になるべく、関係者の懸命の努力が続いているようです。日本におけるエネルギー政策の大きな転換点ともいえる松島火力発電所の稼働停止。見慣れた景色も変わりそうですので、是非一度現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。
(2024年10月執筆)
PHOTO:PIXTA