【黒石市】第二消防屯所 解体/取壊
- 建物・施設
青森県黒石市の第二消防屯所は、1920年に建てられた木造の消防施設で、市内に現存する望楼付き消防屯所の中で最も古い建物です。一階は消防車やポンプ車を収納する倉庫、二階は消防団員が詰める詰所として利用されてきました。屋上には火の見櫓(やぐら)が設けられ、急勾配の階段を上がると内部に半鐘が設置されており、火災時には地域へ警鐘を鳴らす重要な役割を果たしてきました。この屯所は、長い間地域の防災拠点として活躍し、黒石の町並みに溶け込む歴史的景観の一部となっていました。正面の扉は一時期アルミシャッターに改修されましたが、住民の熱意により史料をもとに木製扉へと復元され、地域の伝統を守る象徴的存在でもありました。
観光ルートにも組み込まれ、町歩きの途中で立ち寄れるスポットとして親しまれ、地域の人々や観光客にとっては黒石の歴史と文化を感じる貴重な場所でした。しかし2024年冬の大雪による一部倒壊を受け、専門家による調査の結果、補修が困難と判断されました。法的な制約もあり改修工事は断念され、2025年に黒石市は取り壊しを決定しました。
第二消防屯所は、100年以上にわたり地域の安全を守り、歴史の証人として多くの思い出を刻んできました。長きにわたる運営に心から敬意を表するとともに、地域に根ざしたこの建物の姿が多くの人々の記憶に残り続けることを願います。
(2025年6月執筆)
当地を代表する景色の一つでした。
PHOTO:PIXTA