別所沼会館 閉館
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さいたま市南区の別所沼公園のほとりに佇み、長年市民に親しまれてきた「別所沼会館」が、建物の老朽化などを理由に2026年3月末で閉館することが決まりました。レストランや宴会場、結婚式場として、多くの市民の思い出を刻んできた沼畔のシンボルが、60年以上にわたるその歴史に幕を下ろします。
会館の歴史は1961年、埼玉県の職員向け福利厚生施設「職員クラブ」として始まりました。その後、より広く県民が利用できる施設として1981年4月に現在の「別所沼会館」として正式に開館しました。以来、公園の豊かな自然を望むレストランでの食事や、夏にはビアガーデンが賑わいを見せ、市民の日常の憩いの場であり続けました。また、会議や宴会、さらには結婚披露宴の会場としても利用され、人生の節目を祝う特別な空間としての役割も担ってきました。
施設の所有者は埼玉県で、2023年からは民間事業者が指定管理者として運営を引き継ぎ、「ヘリテイジ浦和別所沼会館」として営業を続けています。しかし、築60年を超え、施設の老朽化が深刻な課題となっていました。関係者によりますと、耐震性の問題も浮上しており、大規模な改修には多額の費用が見込まれることから、県は施設の維持は困難と判断。現在の運営事業者との契約が満了する2026年3月末をもって、閉館することが正式に決定したようです。
長きにわたり、別所沼のほとりで人々の集いと安らぎの場を提供し続けてきたその歴史に、深い敬意を表します。この場所で生まれた数え切れないほどの語らいや笑顔は、閉館の後も、訪れた人々の心に温かい光を灯し続けていくことでしょう。
(2025年6月執筆)
PHOTO:PIXTA