清水港テルファー
- 文化・教育施設
静岡市清水区のウォーターフロントに静かに佇む巨大な鉄骨構造物「清水港テルファー」は、港の近代化を象徴する貴重な産業遺産です。
その歴史は、1923年に発生した関東大震災に遡ります。震災からの復興には大量の建築用木材が必要となり、清水港の木材取扱量は急増しました。しかし、当時の荷役能力には限界があり、物流の効率化が喫緊の課題でした。この状況を打開するため、1928年にテルファーが建設されます。貨物船から直接、鉄道の貨車へ木材を積み込むことができるこの画期的なクレーンは、荷役作業を劇的に効率化し、清水港が国内有数の木材貿易港へと飛躍する大きな原動力となりました。
以来43年間にわたり、テルファーは港の心臓部として活躍を続けましたが、1971年にその歴史的な使命を終えました。これは、輸入木材が丸太から加工済みの製材品へとシフトしたことや、世界的なコンテナ輸送の波が押し寄せたことによる物流構造の変化が主な理由です。
一時は解体の危機に瀕しましたが、その歴史的価値が再評価され、保存への道が開かれました。2000年には国の登録有形文化財に登録され、その後も静岡市の景観重要建造物、日本機械学会が認定する機械遺産にも選定されています。現在では清水マリンパークのシンボルとして、港の風景に溶け込みながら、日本の産業発展の記憶を後世に伝えています。このような貴重な歴史的建造物を大切に維持・管理されている関係者の皆様に、心より敬意を表します。
(2025年4月執筆)
PHOTO:写真AC
映画「クレージーの殴り込み清水港」(1970年)は、清水次郎長一家を中心にした時代劇コメディです。追分の三五郎が、清水次郎長一家の森の石松と再会し、仏の友吉親分を助けるために下張戸村へ向かいます。しかし、金を盗まれたり、悪代官や鮫造一家と対立したりと波乱が続きます。最終的に次郎長一家が策略を用いて敵を一網打尽にする展開が描かれます。
清水港を舞台に、ユーモアとアクションが融合した作品です。現地への訪問前にご覧になってはいかがでしょうか。