石切山脈
- 建物・施設
茨城県笠間市にある石切山脈は、日本最大級の稲田石(稲田白御影石)の採石場として知られ、現在も稼働し続けています。石材産業の中心地だった瀬戸内海から職人を招き、採石技術を導入する形で1899年からその歴史の歩みを始めます。東西約10km・南北約5km・地下1.5kmに及ぶ広大な採石場跡は、壮大な景観から「茨城のグランドキャニオン」の異名を持ち、茨城百景にも選定されています。
石切山脈から採掘される稲田石は、約6,000万年前に形成された花崗岩の一種で、その白さから「白い貴婦人」とも呼ばれます。優れた耐久性と美しい光沢を兼ね備え、古くから国会議事堂、最高裁判所、日本橋など、数々の歴史的建造物の建築材として使用されてきました。戦後は、東京駅丸の内広場の床石など、近代建築物にも広く採用されています。
採掘を休止している大場採石場跡地は「天空の湖」と呼ばれ特に人気を集めます。石切山脈は、100年以上にわたり高品質な稲田石を産出してきた、日本の建築史を彩る場所の一つ。日本の近代化と建築技術の発展を今に伝える貴重な財産と言えるでしょう。是非一度現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。
(2024年5月執筆)
PHOTO:PIXTA