常磐炭田
- 建物・施設
常磐炭田は、福島県と茨城県にまたがる広がる大規模な炭田でした。主に非粘結性の亜瀝青炭を産出し、北部では硫黄分の多い有煙炭、南部では硫黄分の少ない茨城無煙炭が採掘されました。
明治初期から本格的な採掘が開始された常磐炭田。首都圏に近いという立地上の優位性、輸送経路の整備・発掘技術の進歩などの追い風を受けて重要な鉱工業地帯として発展しました。一方で、硫黄分が多く含まれていたことや褶曲した地層等を起因として採掘には高い技術が必要な炭鉱でもありました。実際に、1924年の湯本町の入山炭鉱のガス爆発事故や1927年の内郷炭坑の火災など、多くの災害が発生した炭田でもあります。
常磐炭田は日本の近代化に大きく貢献しましたが、石油エネルギーへの転換により当炭田も徐々に産出量を減らしてゆきました。現在ではその歴史を伝える遺構が歴史を伝承します。是非一度現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。
(2024年7月執筆)
在りし日の営みを伝える貴重な景色です。
PHOTO:PIXTA