安中貨物東邦号 引退
- 乗り物
長年日本の産業を支えてきた福島臨海鉄道の「安中貨物東邦号」が、62年の歴史に幕を下ろしました。この列車は、1963年の小名浜製錬所操業開始とともに誕生し、東邦亜鉛が運行を委託してきた重要な貨物列車でした。当初は宮下駅と安中駅間で亜鉛焼鉱を輸送し、無蓋車にカバーを掛けて運用されていました。1969年には専用のタンク車タキ15600形が導入され、本格的な運行が始まりました。
1981年からは亜鉛精鉱の輸送も開始され、1999年には私有貨車トキ25000形が新製されました。2010年にはタキ1200形が導入され、2013年に全面置き換えが完了しています。この列車は、鉄道ファンの間で「安中貨物」として親しまれ、赤茶色のタンク車は50年以上にわたって愛されてきました。しかし、東邦亜鉛が亜鉛製錬事業を縮小し、安中製錬所の主要設備を停止することに伴い、2025年3月15日のダイヤ改正で運行を終了することになりました。
安中貨物東邦号は、日本の産業発展を支えた重要な存在として、多くの人々に感謝と敬意を持って見送られることでしょう。
(2025年3月執筆)
PHOTO:PIXTA