古座川町立七川小学校 平井分校 閉校
- 文化・教育施設
和歌山県東牟婁郡、清流古座川の上流に位置する平井集落に、かつて古座川町立七川小学校平井分校がありました。1894年に開校したこの学び舎は、国道371号の終点にあることから「最果ての分校」とも呼ばれ、1世紀以上にわたって地域の子どもたちの成長を支える教育の拠点でした 。
山々に囲まれたこの地で、学校は地域コミュニティの中心的な存在でした。しかし、時代の移り変わりとともに過疎化が進行し、児童数は次第に減少していきます。1991年度の在校生は16名となり、学校の維持が困難な状況となりました 。そして1997年に惜しまれつつ休校し、2004年に110年という長い歴史に静かに幕を下ろしました 。
しかし、その物語は閉校では終わりませんでした。学び舎はその後、地域の特産品である柚子を活かした生産・交流拠点「ゆずの学校」として見事に生まれ変わったのです 。かつて子どもたちの声が響き渡った校舎は、今、新たな賑わいと交流を生み出し、地域活性化の希望の光として輝いています。
長きにわたり、この地で教育の灯を守り続けてこられた運営主体と関係者の皆様のご尽力に、心からの敬意を表します。卒業生や先生方にとって、この学び舎で過ごした日々は、爽やかな柚子の香りとともに、いつまでも色褪せることのない大切な宝物として心に刻まれていることでしょう。
(2024年9月執筆)
PHOTO: 廃校5000 様