ジェラール水屋敷地下貯水槽
- 文化・教育施設
ジェラール水屋敷地下貯水槽は、幕末期に横浜へ移り住んだフランス人実業家、アルフレッド・ジェラールによって建設されたレンガ造りの貯水施設です。山手の谷戸から湧き出る清らかな水を、船舶や居留地内の生活用水として供給する目的で造られました。当時の横浜市街地の井戸水には塩分が含まれており、飲用には適していなかったため、この施設は非常に重要な役割を担いました。
ジェラールは湧水を確保し、パイプを通じて供給する給水事業を展開しました。この貯水槽には、防火床としての機能を持つ天井構造が採用されており、耐久性と実用性を兼ね備えた設計がなされています。現在、この施設は元町公園の一部として保存され、歴史的価値が認められ国の登録有形文化財に指定されています。内部には今もなお湧水が流れ込み、当時の技術や人々の暮らしの様子を感じることができます。
横浜の開港とともに発展したこの貯水槽は、異国の文化と技術が融合した象徴的な遺構です。ぜひ現地を訪れ、歴史の趣を感じながら、その価値に触れてみてはいかがでしょうか。
(2025年2月執筆)
PHOTO:PIXTA