埼玉県立和光高等学校 閉校

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埼玉県立和光高等学校は、和光市が誕生して間もない1972年(昭和47年)4月に開校しました。同年5月26日の開校記念式典から、その歴史が始まりました。開校当初、学校が位置する新倉の地は「田んぼの中の和光高校」と呼ばれ、校庭整備も手探りの状態でしたが、生徒たちは初代校長や教職員と共に汗を流し、スコップや一輪車で校地を整え、文字通り自分たちの手で学び舎を築き上げたという独自の創成期を経験しました。

開校3年後の1974年(昭和49年)には、当時の教職員らの手によって、未来への希望を託した「手作りの校歌」が制定されました。校章は、荒川流域に自生する県花のサクラソウをモチーフとし、「知の光」と「和」の精神を象徴しています。また、和光高校の教育史における特筆すべき点として、昭和48年度頃から「必修クラブ」という独自の授業がカリキュラムに組み込まれており、1980年頃には全校生徒が所属し、教員の特技を活かした「自動車クラブ」や「計算機クラブ」など、多様な活動を通じて生徒の個性と協調性を育みました。和光高校は長きにわたり、和光市をはじめ近隣地域の生徒たちに高等教育の機会を提供し、様々な個性や課題を抱える生徒の進路を保障する、地域にとって欠かせない存在として機能してきました。

しかし、公立中学校卒業者数の減少と教育の活性化を図る県の施策に伴い、和光高校は大きな転換期を迎えました。適正な学校規模の維持が困難となったことから、埼玉県が進める「魅力ある県立高校づくり第2期実施方策」に基づき、埼玉県立和光国際高等学校と統合されることとなりました。和光高校は2023年度(令和5年度)入学者選抜をもって生徒募集を停止しており、2026年(令和8年)度に、現在の和光国際高校の場所に国際科と普通科を併置する新校が開校する予定です。和光高校の最後の在校生が卒業するのは、新校開校の年となる見込みです。

統合後も、和光高校が培ってきた伝統と教育活動は、新校に引き継がれ、発展させることが目指されています。また、和光高校の校舎跡地は、国道254号和光バイパスの事業用地に転用される計画があり、和光市と協議しながら利活用が進められます。長年の歴史のなか、この地の教育の充実と発展に尽力されてきた運営主体様に対し、心より敬意を表します。武蔵野の沃野で育まれた生徒や教職員、そして関係者の皆様が、この輝かしい歴史を胸に、青春の思い出を深く振り返られることを願っております。

(2025年11月執筆)

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