山の上ホテル 休業
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山の上ホテル(東京都千代田区神田駿河台1-1)が2024年2月13日から全館休業します。「竣工から86年を迎える建物の老朽化への対応を検討するため」とのことです。
山の上ホテルは、石炭王・佐藤慶太郎の資金を得て、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計。人道主義的な理想を掲げた運動拠点の「佐藤新興生活館」をその歴史の起源とします。太平洋戦争中の旧海軍への徴用や敗戦後のGHQ接収等の歴史を経て、ホテルとして開業したのが1954年のこと。その後、1970年には別館が増築されました。創業者の吉田俊男氏の周囲に文学関係者が多かったことや、文学の街神保町や神田から近いことあり、著名な文学関係者に特に愛された宿泊施設です。
小高い高台に佇み、当地のランドマークになっている建物は今なお多くの文学愛好家や明治大学をはじめとする多くの学校の卒業生が足を運ぶ場所とのこと。歴史ロマンあふれる建物が再び私達の前にその姿を見せてくれるかどうか、現時点では未確定のようです。
思い出をお持ちの方は一度現地に足を運ばれてはいかがでしょうか。永遠ではない景色を記憶する大切な時間となるはずです。
(2023年10月執筆)
PHOTO:写真AC
石炭の神様「佐藤慶太郎」。日本最初の美術館「東京府美術館」を個人で寄付したことでも知られます。
当ホテルは佐藤慶太郎氏のゆかりの地でもあります。この機に永久保存版としてお手元に確保されてはいかがでしょうか?