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【山口貯水池】第一取水塔

  • 建物・施設

昭和初期、人口急増に沸く東京の水瓶を確保するため、狭山丘陵の谷を堰き止める壮大な計画が実行に移されました。これが昭和9年(1934)に竣工した山口貯水池、通称「狭山湖」です。その建設の陰には、勝楽寺村などの集落が湖底に沈み、多くの住民が故郷を離れるという重い史実がありました。

湖面に佇むシンボルが「第一取水塔」です。昭和7年(1932)の通水を経て完成したこの塔は、煉瓦色のタイルを纏い、尖塔アーチを頂いた姿から「欧州の古城」とも形容されます。しかしその細部には、当時流行のスクラッチタイルをあえて芋目地で貼るなど、古典的な様式建築からモダニズムへの移行を示す貴重な建築的特徴が見て取れます。昭和50年(1975)には、第一塔の美観に敬意を払い、調和のとれたデザインで「第二取水塔」が増設されました。

新旧二つの塔が並ぶ景観は、晴れた日には富士山を背景に美しいコントラストを描き出します。その歴史的・景観的価値は高く評価され、平成19年(2007)には「土木学会選奨土木遺産」に認定されました。近年は大規模な堤体耐震強化工事も完了し、首都の生命線を守る要としての機能は今も揺るぎません。

先人の苦労と技術を継承し、日夜インフラを維持管理する東京都水道局に対し、深く敬意が表されます。湖底の歴史に想いを馳せつつ、近代土木遺産の美しさを愛でる旅へ、ぜひお出かけください。

(2026年1月執筆)

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