福知山市立川合小学校 閉校
- 文化・教育施設
京都府福知山市三和町上川合にかつて存在した福知山市立川合小学校。その歴史は、近代日本の教育制度が始まった1873年にまで遡ります。開校以来、この学び舎は単なる教育の場にとどまらず、地域の暮らしの中心であり、住民の思いが宿るシンボルでした 。
明治から昭和にかけて、この地域では養蚕が盛んで、冬には出稼ぎに出るのが一般的でした 。子どもたちは教室での勉強と並行し、家業を通じて地域の文化や営みを肌で感じながら育ちました。戦後の活気ある時代には児童数が300人を超え、校庭はいつも子どもたちの歓声に満ちていました。運動会ともなれば、全校生徒が一丸となって組体操やよさこい鳴子おどりを披露し、地域の人々が固唾をのんで見守る、まさにコミュニティの一大行事でした。
しかし、時代の移り変わりとともに児童数は減少し、閉校の年には15名となりました。それでも、少人数だからこその強い絆で、学校の伝統は最後まで大切に受け継がれました。そして2015年3月31日、地域に惜しまれながら142年の長い歴史に幕を下ろしました 。
閉校後、学び舎は新たな物語を紡ぎ始めます。校舎や校庭は、地域住民の手によってキャンプ場や郷土の歴史を伝える資料館として再生 。かつての子どもたちの声が響いた場所は、今、新たな交流と賑わいを生む地域の宝として輝いています。 この学び舎を未来へ繋ぐ運営主体の皆様の情熱に、心からの敬意を表されます。そして卒業生の皆様、教鞭をとられた先生方。教室の温もりや友との思い出は、今も皆様の心に息づいていることでしょう。この場所にゆかりのある方は、ぜひ一度、新たな息吹を感じに足を運んでみてはいかがでしょうか。
(2024年7月執筆)
PHOTO: 廃校5000 様