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しいのき迎賓館

  • 文化・教育施設

石川県金沢市の「しいのき迎賓館」は、もともと1924年に竣工した旧石川県庁舎本館として建設されました。設計は国会議事堂の設計にも携わった矢橋賢吉によるもので、石川県で初めての本格的な鉄筋コンクリート造の建築物として、当時の最新技術と美術的装飾が随所に施されています。外壁には、帝国ホテル本館でも用いられた愛知県武豊産のスクラッチタイルが使われ、堂々たる近代建築の姿を今に伝えています。

約80年にわたり県政の中心として機能したこの建物は、2003年の県庁移転後、保存活用策が検討され、2010年に「石川県政記念しいのき迎賓館」として生まれ変わりました。正面は歴史的意匠をそのままに、反対側には現代的なガラスファサードが増築され、レトロとモダンが融合した空間となっています。シンボルである樹齢約300年の「堂形のシイノキ」は国の天然記念物に指定され、建物と一体となって来訪者を迎えます。2010年のリニューアル以降、しいのき迎賓館はギャラリーや会議室、レストラン、カフェなど多様な施設を備え、文化事業や学術交流の拠点、観光案内の中心として、県民や観光客に広く親しまれています。さらに2021年には国の登録有形文化財に指定され、歴史的・文化的価値が公的に認められました。

しいのき迎賓館は時代ごとに役割を変えつつ、地域の歴史と文化を見守り続けてきました。運営に携わる方々の尽力に敬意を表するとともに、訪れる人々がこの場所で過ごした思い出を心に刻み、これからも多くの交流と発見が生まれることが願われます。

(2025年6月執筆)

PHOTO:写真AC

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