能登町立小木中学校 閉校
- 文化・教育施設
能登町立小木中学校(石川県鳳珠郡能登町小木1丁目1-1)は、1947年に開校し、2025年3月31日までの78年間、地域とともに歩んできた歴史ある中学校です。その間、数多くの卒業生を輩出し、地域の発展と文化の継承に大きく貢献してきました。
小木中学校が位置する能登町小木地区は、古くから漁業が盛んな「漁師町」として知られています。地域の伝統文化の中でも特に有名なのが、毎年5月2日・3日に開催される「小木とも旗祭り」です。この祭りは、石川県の無形民俗文化財にも指定されており、地域の人々にとって誇り高い行事となっています。祭りのハイライトは、高さ20メートルにも及ぶ「とも旗」を掲げた9隻の船が小木港内を巡る壮観な光景です。
小木中学校の生徒たちは、この「とも旗祭り」に深く関わってきました。毎年、全校生徒が協力してとも旗の制作を担当し、自分たちの手で一枚の大きな旗を完成させます。完成した旗は、祭り当日に船に掲げられ、地域の伝統を次世代へと受け継ぐ象徴となります。この活動を通じて、生徒たちはものづくりの楽しさや、地域社会とのつながり、伝統文化の大切さを学んできました。また、小木中学校では防災教育にも力を入れており、「小木の町から一人の犠牲者も出さない」という強い思いのもと、地域住民と連携した避難訓練や防災活動も積極的に行われてきました。こうした取り組みは、地域の安全・安心にも大きく寄与しています。
2025年3月31日、小木中学校は惜しまれつつ閉校し、長い歴史に幕を下ろしました。地域の伝統や人々の思いが詰まったこの場所には、今も多くの思い出が息づいています。小木中学校にゆかりのある方や思い出のある方は、ぜひ一度この地を訪れ、かつての学び舎と地域の温かさを感じてみてはいかがでしょうか。
(2025年5月執筆)