北海道知事公館
- 文化・教育施設
札幌市中心部にありながら、豊かな緑に包まれた北海道知事公館は、歴史的建造物として市民や観光客に親しまれています。この建物の歴史は、1936年に三井財閥の迎賓館「三井別邸」として建設されたことに始まります。白壁に木材の骨組みが映える英国のハーフティンバー様式を取り入れた優雅な洋館は、当時の建築技術の高さを今に伝えています。
戦後、一時米軍に接収された後、1953年に北海道の所有となり、以来、知事公館として国内外の賓客を迎える公的な迎賓館の役割を担ってきました。特に1972年の札幌オリンピックでは、昭和天皇・皇后両陛下の御宿泊所としても使用され、歴史の重要な一場面の舞台となりました。
その建築的、歴史的価値は高く評価されており、1999年には国の登録有形文化財に登録、また札幌市の「さっぽろ・ふるさと文化百選」にも選定されています。現在では公務での利用に加え、館内が一般に無料公開されており、広大な庭園は市民の憩いの場として愛されています。北海道の歴史と文化を伝えるこの貴重な資産を、長年にわたり維持管理し、広く道民に開かれた施設として運営されている関係者の皆様に、心からの敬意が表されます。
(2025年8月執筆)
PHOTO:写真AC