開陽丸青少年センター 閉館
- 建物・施設
陽丸青少年センターは、江差町の歴史と観光を支えてきた重要な施設です。その歴史は、幕末の軍艦「開陽丸」の壮大な物語に遡ります。オリジナルである開陽丸は、1865年から約1年半かけてオランダで建造され 、1867年4月に日本に到着しました 。しかし、徳川幕府の旗艦として活躍した後、戊辰戦争の最中、1868年12月28日夜半の暴風雪により江差沖で座礁し、数日後に沈没するという悲劇的な運命を辿りました 。 この海底に眠る歴史を掘り起こすため、沈没から100年以上を経た1975年から、大規模な水中遺跡発掘調査が開始されました。その成果として、船体を復元した開陽丸記念館が1990年頃に建設されました。センターの管理棟は、記念館と一体となって、観光振興の拠点として利用者に親しまれました。
センターは「えさし海の駅『開陽丸』」としても登録され、開陽丸記念館では、海底から引き揚げられた約33,000点の遺物のうち、約3,000点を展示し 、来館者に歴史を伝える役割を担いました。また、管理棟内には観光案内所や、江差町の特産品や軽食を提供するアンテナショップ「ぷらっと江差」が入居し、地域観光の「玄関口」として、情報発信や休憩機能を提供していました。
長きにわたり地域に貢献してきましたが、2025年11月1日より解体工事が行われるため、施設が閉鎖されます 。これは、跡地に(仮称)道の駅「かもめ島」を整備する事業に伴うものです。 これに先立ち、管理棟内のアンテナショップ「ぷらっと江差」は2025年10月31日をもって閉店し 、管理棟の解体工事に伴い、これまでの観光情報提供機能などは一時的に停止または移転します。また、観光案内業務は2025年11月1日より江差町会所会館へ移転しています 。
開陽丸青少年センターの運営を担われた関係者の皆様の献身的なご尽力に、心より敬意を表します。解体される建物は当地を代表する景色の一つでありました。この場所で過ごした楽しい思い出は、多くの人々の心に深く刻まれています。新施設への移行を見守りながら、ぜひ、開陽丸とセンターが紡いだ江差の歴史を振り返ってみてはいかがでしょうか。
(2025年11月執筆)
PHOTO:PIXTA







