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タウシュベツ川橋梁 

  • 文化・教育施設

森を切り拓いた、鉄路の建設

大正末期から昭和初期にかけて、北海道の内陸開拓が進む中、上士幌町の森林資源と農業生産物を輸送するため、旧国鉄士幌線の建設が計画されました。昭和12年(1937年)、糠平(ぬかびら)方面への路線延伸に伴い、タウシュベツ川を渡るための橋梁が完成します。全長130メートル、11連の連続コンクリートアーチという構造で、現地で調達した砂利を活用し、鉄筋コンクリートの枠の中に割石を詰め込んだ独特の工法が用いられ、当時の建設技術を今に伝えています。険しい山岳地帯を貫くこの路線には、他にも数々のコンクリートアーチ橋が架けられ、士幌線全体で独特の景観を形作っていきました。


木材とともに走った、開拓期の鉄道

完成した士幌線は、糠平周辺で伐り出された木材や、地域の農産物を運び出す大動脈として機能しました。沿線には森林鉄道網も張り巡らされ、林業を中心とした産業の発展を後押しします。しかし戦後の高度経済成長期、音更川(おとふけがわ)の本流をせき止める糠平ダムの建設計画が持ち上がると、タウシュベツ川橋梁を含む区間は水没することが決まり、士幌線の路線は新たなルートへと付け替えられました。昭和30年(1955年)、糠平ダムが完成し、旧線の跡は静かに湖底へと沈んでいきます。


湖に浮き沈みする、幻の橋

役目を終えたタウシュベツ川橋梁は、糠平湖のダム湖水位の変動によって、季節ごとに姿を変える独特の存在となりました。夏にかけて雪解け水の流入や利水により水位が上がって水中に沈み、冬にかけて発電のための放水で水位が下がると再びその姿を現すことから、「幻の橋」と呼ばれるようになります。連なるアーチが眼鏡のように見えることから「タウシュベツのめがね橋」とも親しまれ、多くの写真愛好家や観光客が訪れる糠平湖の象徴的な風景となりました。


朽ちながら、今も語り継がれる遺産

長年にわたる水没と乾燥の繰り返しに加え、十勝沖地震などによる激しい揺れや凍害によって、中央部などのコンクリート側壁が大きく崩落し、内部の割石が露出している箇所もあります。平成13年度(2001年度)には北海道遺産に選定され、開拓期の土木技術を伝える貴重な遺産として評価されています。いつか完全に崩れ去るかもしれないこの橋は、朽ちゆく姿そのものが、糠平の大地を切り拓いた人々の記憶を今に伝え続けています。

(2026年8月執筆)

 

年々崩壊が続きます。

 

歴史ロマン溢れる景色にのこされた時間にも限りがあります。

PHOTO:写真AC

人気映画「雪に願うこと」。当地もロケ地になっているそうです。

雪に願うこと

 

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