魚貫炭鉱
- 建物・施設
熊本県天草市南部の魚貫炭鉱は、幕末から採炭が始まった小規模な炭鉱です。1903年には日本練炭株式会社が買収し、組織的な採掘が始まりました。烏帽子坑と同じ良質な無煙炭を産出し、天草の近代化に大きく貢献しました。
大正時代末期からは経営者が変わり、戦後は久恒鉱業株式会社が経営を引き継ぎました。1951年には魚貫炭鉱株式会社として独立し、中ノ浦坑・魚貫坑・久貫坑3つの坑口で採炭が行われました。
現在もその遺構が残されていますが、3つの坑口はそれぞれ離れており、分散して存在します。中ノ浦坑周辺には、鉄筋コンクリート造のホッパーや石炭の積み出しに使われたと思われる埠頭、運搬路跡などが残されています。また、山腹には運搬坑道やコンクリート橋脚も確認できます。
魚貫坑周辺にも、洗炭場や捲き場、共同浴場跡など、多くの遺構が現存し在りし日の営みを今に伝えます。熊本県天草市魚貫町。この地にも歴史ロマン溢れる遺構が存在します。
(2024年2月執筆)
当地の歴史を今に伝承する貴重な遺構です。
PHOTO:写真AC