【肥薩線】那良口駅 廃駅
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JR肥薩線の那良口駅(熊本県球磨郡球磨村)は、1910年に貨物専用駅として開業しました。当時は鹿児島本線に属し、その後、1913年に一般旅客の取り扱いを開始し、1927年には肥薩線の駅となりました。
駅周辺は球磨川沿いの山間部に位置し、豊かな自然と木材産業が栄えた地域です。特に球磨川の流域では水運が盛んで、那良口駅は鉄道と水運を結ぶ物流拠点として活用されました。貨物取り扱いが廃止された1973年以降は無人駅となり、地域住民の生活の足として機能していました。1987年の国鉄分割民営化によりJR九州が引き継ぎましたが、利用者の減少が続きました。
2020年7月の豪雨災害で肥薩線は甚大な被害を受け、一部区間の運休が続く中、復旧計画が進められました。その過程で、利用者が1日平均1人以下であることなどから、那良口駅を含む3駅の廃止案が浮上しました。2025年3月25日には熊本県と沿線自治体による協議会で廃止案が合意されました。
那良口駅はその歴史的役割を終えようとしていますが、当地関係者様からは廃止後も駅舎を保存し活用する声が上がっているようです。現地では今も当時の貨物側線跡地などが残り、その歴史を感じることができます。ぜひ訪問して、地域と鉄道の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。
(2025年4月執筆)
美しい営みは多くの人々の心に記憶されることでしょう。
PHOTO:PIXTA