【上野動物園】猿山 取壊
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上野動物園の猿山は、日本の動物園展示の歴史を象徴する施設です。1932年10月に完成し、房総半島・富津市の高宕山や鋸山の岩山をモデルにして造られました。当初は複数種のサルを混在させて展示していましたが、問題が生じたため、1948年から1950年にかけて宮崎県と鹿児島県屋久島から12頭のニホンザルを導入し、現在の群れの礎となりました。猿山は、サルたちの生態をより自然に近い形で観察できる画期的な施設でした。約550平方メートルの敷地に高低差約11メートルの岩山があり、サルたちの行動範囲を確保しています。
92年間、多くの来園者に親しまれてきた猿山ですが、老朽化が進み、2008年には大規模な補強工事が行われました。しかし、近年の猛暑対策が必要となり、猿山を取り壊し、日陰ができやすい森のような新しい施設にリニューアルすることが決定しました。
新しい施設は、「アニマルウェルフェア」コンセプトが導入され、サルたちがより快適に過ごせる環境を指向しているようです。90余年に渡り上野動物園の歴史と共に歩んできた猿山に残された時間はわずかです。この機会にぜひ上野動物園に足を運んでみてはいかがでしょうか。
(2024年11月執筆)
PHOTO:PIXTA