三千里薬品 閉店
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渋谷スクランブル交差点のランドマークとして長年親しまれてきた三千里薬品が2024年12月31日をもって閉店しました。当店は、1952年に「三千里食堂」としてその歩みを始めます。時代のニーズに応え、1962年に薬局へと業態を転換し、「三千里薬品」として新たなスタートを切りました。
定価販売が主流だった時代に「一品でも売る現金問屋」として安価な価格設定で商品を提供し、多くの人々に愛されました。赤と青のロゴが特徴的な外観は、渋谷駅前の目印として機能し、待ち合わせ場所としても活用されてきました。
しかし、オンラインショッピングの普及や競争の激化等の種々の要因が勘案され、閉店が正式に決定したようです。閉店後、経営母体様からは新たな業態の店舗をオープンする計画が発表されておりますが、62年もの間、渋谷の街に寄り添い、多くの人々の日常を支えてくれた三千里薬品の閉店は当地の時代の区切りと言えそうです。きっと多くの人々の心の中に永遠に記憶される景色となることでしょう。
(2025年1月執筆)
PHOTO:PIXTA
市川崑監督の「プーサン」(1953年)は、善人で気弱な予備校教師・野呂(伊藤雄之助)が、妻の死後、ほのかな恋心や暴動への巻き込まれ、失職後の職探しを通して奮闘する姿を描いた人間ドラマです。不器用な野呂と、社会での生き抜き方が異なる個性豊かな登場人物たちとの対比が魅力。戦後日本の風俗や横山泰三の原作漫画のエッセンスも色濃く表現されています。
映像には「三千里薬品」の前身「三千里食堂」が確認できます。今となっては貴重な映像と言えそうです。