【高尾山】細田屋 閉店
- 商業施設
東京都八王子市、自然豊かな高尾山の一角、もみじ台に位置した細田屋は、長年にわたり登山者や観光客の憩いの場として親しまれてきました。開業は昭和元年にまでにさかのぼります。細田屋は高尾山頂から徒歩約10分、奥高尾への入り口に佇み、「これより奥高尾」の看板が目印でした。高尾山の登頂だけで引き返す人々にとって、細田屋は少し先の冒険心を誘う存在でもありました。
名物のなめこ汁や自家製味噌を使ったみそおでん、そばなどを提供し、その味と素朴な雰囲気は世代を超えて多くの登山者の記憶に刻まれています。特にもみじや新緑の季節には多くの人々が訪れ、山頂の喧騒を離れて自然と静けさを味わえる場所でした。細田屋の存在は、利用者にとって「登山の終点」ではなく、「奥高尾への道標」としての役割を果たしてきました。
多くの人々に愛される存在でしたが、2025年6月30日、細田屋は約100年にわたる営業に幕を下ろしました。閉店の知らせは多くの登山愛好者や地元の人々の間に衝撃を与え、惜しむ声が相次ぎました。長きにわたり細田屋を守り続けた運営者の皆さまには、深い敬意を表します。細田屋で過ごしたひとときは、懐かしい思い出となり、それぞれの人生のなかで静かに息づいていくはずです。
(2025年6月執筆)
PHOTO:PIXTA