笹子隧道
- 文化・教育施設
- 建物・施設
笹子隧道は、甲州街道最大の難所とされた笹子峠を越えるため、1938年に開通したトンネルです。全長239メートル、幅3.25メートル、高さ3.3メートルの鉄筋コンクリート造で、大月市と甲州市を結ぶ重要な交通路として機能しました。後に新笹子トンネルが開通するまで、東京と甲府・松本方面を結ぶ幹線道路として山梨県の経済発展を支えました。
このトンネルの特徴は、大月市側坑門に施された洋風建築的な意匠です。両脇の柱形装飾や上部の持送状装飾が目を引き、当時の近代土木技術とデザインの融合を感じさせます。こうした歴史的価値が公に評価され、1997年には登録有形文化財に指定されました。
現在は山梨県道212号日影笹子線として利用されていますが、狭小な構造のため自動車のすれ違いが困難であり、冬季には閉鎖されることもあります。それでも笹子隧道は、甲州街道の歴史や交通近代化の象徴として、歴史ファンなど多くの人々にその存在を知られています。
歴史と文化が息づく笹子隧道。ぜひ現地を訪れ、その風格ある姿と周囲の自然景観を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(2025年3月執筆)
PHOTO:写真AC