記事旧山寺ホテルのイメージ画像

旧山寺ホテル

  • 文化・教育施設

旧山寺ホテルは、1916年(大正5年)に旅館として開業した、山形の歴史を象徴する木造建築です。その歴史は、前身の旅館が1913年の洪水で流失した後、明治後期に建てられた建物を改修して再興したことに始まります 。山寺駅の正面という絶好の場所にあり、立石寺を訪れる人々を温かく迎える玄関口として親しまれてきました。昭和11年(1936年)には、翌年の仙山線全線開通を見据え、駅側に優美な唐破風造の玄関を持つ新館を増築しました 。建物は中央の本館、西の居住部、東の新館から成り、時代の移ろいを映すその姿は、門前町の歴史的な景観に大きく貢献しています 。大正から平成に至る約90年間にわたり、地域の交流と文化を支える宿として、多くの人々の思い出を育んできました 。

2007年に旅館としての歴史に一度幕を下ろしましたが、その文化的価値を未来へ繋ごうとする人々の尽力により、2012年に「やまがたレトロ館」として再生されました 。現在は無料の休憩所であり、山形ゆかりの画家の作品を展示するミニ美術館として、誰もが気軽に立ち寄れる憩いの場となっています 。こうした歴史的価値は公に認められ、2015年には国の登録有形文化財に登録されました 。

旧山寺ホテルは、単なる宿泊施設以上の存在として、訪れる人々に安らぎと交流の場を提供し、地域文化の継承に寄与し続けています。建物の保存と活用に込められた人々の情熱が、その佇まいには深く息づいています。この場所を訪れれば、過ぎ去った日々に思いを馳せ、美しい山寺の風景とともに、心静かなひとときを過ごすことができるでしょう。

(2025年7月執筆)

PHOTO:PIXTA

同じ都道府県の記事

同じカテゴリーの記事

ファイナルアクセス会社サイトはこちら

残り日数で探す

記事ランキング※24時間以内

Final Access Books

注目コンテンツ これが最後です

都道府県から探す