生田緑地ばら苑 休園
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川崎市の多摩丘陵に抱かれた「生田緑地ばら苑」の歴史は、1958年に始まります。小田急電鉄が向ヶ丘遊園の開園30周年を記念して開いたこの庭園は、世界各国のバラを集め「東洋一のばら苑」と称賛されるほどの規模を誇りました。当初は遊園地内の施設として、多くの人々に夢と感動を与えていました。
しかし2002年、母体であった向ヶ丘遊園が閉園し、ばら苑は存続の危機に直面します。取り壊しの可能性もあったこの美しい庭園を救ったのは、「存続を求める多くの市民の声」でした。この熱意に応え、川崎市が管理を引き継ぎ、「生田緑地ばら苑」として再出発を果たしたのです。私設庭園から、市民が守り育てていく公共の財産へと生まれ変わった歴史的な瞬間でした。
現在、ばら苑は春と秋の年2回だけ公開される特別な場所となり、多くの人々から「秘密の花園」として親しまれています。その美しい景観は、約180名にも及ぶ市民ボランティアの方々の情熱によって支えられています。
そのばら苑が、歴史の新たな節目を迎えます。施設の再整備工事のため、2025年秋の公開が一時休園前、最後となります。最後の公開期間は10月16日から11月3日まで。これは未来へ向けた前向きな休止であり、より良い姿で再会するための準備期間とのことですが、思い出の詰まった現在のばら苑の姿とは永遠のお別れとなります。
長年にわたり、この美しい庭園を育み、守り続けてこられた全ての関係者の皆様に、心より敬意を表します。この秋、色鮮やかに咲き誇るバラたちの姿と共に、あなただけの思い出を心に刻みに訪れてみてはいかがでしょうか。
(2025年10月執筆)
PHOTO:PIXTA







