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城西浪漫館

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岡山県津山市、城下町の西に位置する城西地区に佇む城西浪漫館(旧中島病院本館)は、大正ロマンの薫りを今に伝える美しき洋館です。

この建物は1917年、名医として名高かった中島琢之医師を津山の地に引き留めたいという、市民と地元の名士たちの熱い想いから誕生しました。名棟梁・池田豊太郎の手による設計で、正面のドームやコリント式の柱、細やかな窓の装飾が特徴的な木造建築は「中島病院本館」として、当時津山の玄関口であったこの地に建てられました。院内には部屋ごとに意匠の異なる大理石の暖炉が設えられ、昭和50年頃まで地域の最新医療を支える拠点として、多くの人々の生命を見守ってきました。

時代が移り、一時は解体の危機に瀕しましたが、その歴史的価値の保存を願う市民の声に後押しされ、2008年に建物は津山市へ寄贈されます。翌年「城西浪漫館」として再生し、2010年には国の登録有形文化財に指定されました。その価値は公に認められ、津山の近代化を象徴する貴重な遺産となっています。

現在は「残す」から「活かす」へという理念のもと、カフェやギャラリーを備えた地域の交流拠点として親しまれています。また、2020年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された城西地区の歴史的町並みへと誘う、まさに玄関口としての役割も担っています。この歴史的建造物を大切に守り、訪れる人々を温かく迎え入れる運営管理者の皆様には、深く敬意が表されます。この館に刻まれた百年の物語と人々の想いに触れるため、ぜひ一度、この地を訪れてみてはいかがでしょうか。

(2025年10月執筆)

PHOTO:写真AC

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