【牟岐線】新野駅舎 取壊
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JR牟岐線の新野駅は、1937年6月27日に開業しました。その誕生は、大正時代にまで遡る地域住民の鉄道誘致への強い願いが結実したものでした。開業時に建てられた木造駅舎はつい最近まで姿をとどめ、町の近代化の象徴として迎え入れられました。
戦後の高度経済成長期、駅は徳島県立新野高等学校(現・阿南光高等学校新野キャンパス)の最寄り駅として、多くの学生で賑わう地域の中心地となります。朝夕のホームは活気に満ちていました。
しかし、モータリゼーションの進展と共に利用者は徐々に減少し、1984年には無人駅となりました。近年は自動券売機やトイレも閉鎖され、往時の賑わいは影を潜めています。開業以来の木造駅舎も既に取り壊されれ、安価でメンテナンスが容易なアルミ製の簡素な待合室に変わりました。長年にわたり地域の変遷を見守ってきた新野駅舎。厳しい環境下においても地域の足を支え続けるJR四国に深く敬意を表します。かつてこの駅舎から学び舎へ、そして家路へと向かった多くの方々にとって、その思い出は色褪せることなく心に刻まれていることでしょう。
(2025年10月執筆)
PHOTO:PIXTA







