栃木市立吹上中学校 閉校
- 文化・教育施設
栃木市立吹上中学校（栃木県栃木市吹上町434-1）は、地域社会の教育拠点として長きにわたり「伝統と歴史」を築いてまいりました 。その歴史は、単に教育の場であったに留まらず、地域文化の継承者としての重要な役割を果たしてきた点が特筆されます。
古い時代から生徒たちが体現してきたのは、「夢・努力・思いやり」を教育スローガンとした、地域に貢献できる人材の育成です 。当校ならではの歴史として特に際立つのが、地域社会との密接な関わりです。邦楽部が地域の伝統的な行事である「宮の桜まつり」に毎年参加し、演奏を披露することで、文化的な担い手としての責務を全うしてきました 。生徒たちの活動は地域の皆様に喜びをもたらし、学校がコミュニティの中心的な存在であることを示し続けてきたのです。また、吹上ブロック内の吹上小学校、千塚小学校との小中一貫・連携事業においても、中学生が上級生として優しく小学生に寄り添い、地域全体の教育レベルと連携を強化する役割を果たしました 。
しかし、現代の少子化と行政による教育インフラの最適化という構造的な課題のもと、吹上中学校は歴史的な転換期を迎えます。栃木市西部地区の学校統合計画に基づき、皆川中学校、寺尾中学校との三校が統合されることとなり、当校は2026年3月末をもって閉校することが決定いたしました 。
この統廃合の結末において、吹上中学校が果たした役割は特筆すべきものです。当校の校舎および体育館が、老朽化の程度が低く継続利用に十分耐えられると評価されたことから 、新設される「栃木市立栃木北中学校」の校舎としてその施設が引き継がれることとなりました 。吹上中学校としての名称は消えるものの、その物理的な資産は地域の未来の教育のために活かされます。
最終年度となる2025年度は、閉校式典や地域との最後の交流イベントが予定され、歴史の幕を閉じる記念すべき一年となります。長年にわたり、地域教育にご尽力いただいた運営主様に深く敬意を表します。この歴史の節目にあたり、すべての卒業生、教職員、そして地域住民の皆様が、吹上中学校で共に歩み、築き上げた輝かしい日々の思い出を胸に刻み、新たな教育の門出を迎えることを心より願っております。
（2025年11月執筆）
