西之橋
- 建物・施設
西之橋(神奈川県横浜市中区山下町)は、ビルが立ち並ぶ横浜の繁華街にある、石造りの橋です。多くの人や車が何気なく行き来する橋ですが、その歴史は、江戸時代の終わり、横浜に外国人居留地が築かれていた時代にまでさかのぼります。
西之橋がかかる堀川は、横浜の開港時代に、外国人居留地との境界となるよう掘削された川で、そこに掛けられた橋は関所の役割を担っていました。関所を通って入るので、川の向こうの居留地は「関内」と呼ばれ、今も地元の地名・駅名にその名が残っています。
最初に架橋された西之橋は、幕末の文久元年(1861年)の建造で、その後、明治26年にプラットトラス橋に架け替えられました。しかし、関東大震災で被災。震災復興事業の一つとして、大正15年(1926年)、内務省復興局により設計・施工された橋が現在のものです。鋼2ヒンジアーチ橋で、橋の長さは32.5m、幅員は22mあります。
交通のアクセスが良く足を運びやすい場所ですから、一度現地に足を運んでみるのはいかがでしょうか。都市開発が進み、周囲は多くのビルや店舗が立ち並ぶ繁華街となり、堀川の上部には高速道路が走るようになりましたが、都会の喧騒の中で西之橋は、今もひっそりと歴史を刻んでいます。異国情緒あふれる外国人居留地や震災復興に尽力した先人の営みに触れることができるでしょう。
(2023年8月執筆)
PHOTO:PIXTA
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