西古見観測所
- 建物・施設
鹿児島県大島郡瀬戸内町西古見にそびえる西古見観測所は、かつて旧陸軍の掩蓋式観測所として、東シナ海と大島海峡の警戒監視目的で建設された軍事施設です。
日露戦争を機に、大島海峡は国家戦略・戦術の要衝として日本軍に重視されます。要塞や砲台などの軍事基地が築かれ、海上の巨視眼として敵艦の動きを察知し、砲台に攻撃命令を下す役割を担っていました。現在も残る円形の鉄筋コンクリート製の構造物の内部には、観測用の窓や射撃指揮用の設備が備えられ、敵艦の位置を正確に把握できるよう工夫されていました。
第二次世界大戦終戦後、西古見観測所は軍の施設としての役割を終え、現在は公園として一般開放されています。砲台跡や弾薬庫跡などの遺構が当時の様子を今に伝え、戦争の記憶を風化させません。同時に、美しい東シナ海と大島海峡の景色は、平和の尊さを改めて感じさせてくれます。
戦争の記憶と平和の現在が共存する西古見観測所に一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
(2024年5月執筆)
この場所から眺め見る景色は100年前のものとそうは変わらないはずです。
PHOTO:写真AC