ザ・ロイヤルエキスプレス現行車両 引退
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伊豆の海を背に平成5年(1993)に誕生した伊豆急行2100系5次車「アルファリゾート21」。この名車は平成29年(2017)、水戸岡鋭治氏のデザインにより「THE ROYAL EXPRESS」へと劇的な転身を遂げました。
当車両における特筆すべき史実は、令和2年(2020)より開始された北海道クルーズです。平成30年(2018)の北海道胆振東部地震からの復興支援を掲げ、JR北海道、JR東日本、東急、JR貨物の4社が企業の垣根を越えて結集しました。交流・非電化区間が多い北海道を走るため、かつて「リゾートエクスプレスゆう」で活躍した電源車「マニ50 2186」と黄色のディーゼル機関車が、ロイヤルブルーの電車を牽引する。この前代未聞の編成は、鉄道史に深く刻まれる技術と情熱の結晶でした。
地域社会においても、本列車は単なる観光資源を超えた存在でした。沿線住民が旗を振って歓迎し、地元の匠が至高の食を提供する。それはまさに「復興と希望の象徴」として、地域の人々と一体になった旅路でした。
しかし、現行車両による北の大地への挑戦は、来る令和8年(2026)の夏運行をもって幕を下ろします。フィナーレには初の道南エリア運行も予定されており、翌令和9年(2027)にはJR北海道の新型観光列車「赤い星」へとそのバトンが渡されます。数多の困難を乗り越え、夢のような舞台を創造し続けた運営各社に深く敬意を表します。ファンお一人お一人の胸に刻まれた、あの夏の煌めく記憶と車窓の絶景を、今一度ゆっくりと振り返ってみてはいかがでしょうか。
(2026年1月執筆)
PHOTO:写真AC







