Final 2026年3月20日 記事【南海電鉄】天空 定期運航終了のイメージ画像 History 17年

【南海電鉄】天空 定期運航終了

  • 乗り物

山岳路線の象徴「ズームカー」から生まれた天空の旅

昭和45年(1970)に誕生し、平野部から険しい山岳地帯までを軽快に駆け抜けた22000系「ズームカー」をルーツに持つ観光列車「天空」。平成6年(1994)に2200系へと改造された後、平成21年(2009)7月3日に橋本駅から極楽橋駅を結ぶ特別な列車として新たな命を吹き込まれました。3600件を超える公募から選ばれたその名には、標高約900メートルに位置する聖地・高野山の澄み渡る空気感が込められています。日常の喧騒を離れ、精神世界へと心を切り替える「モードの変換」をコンセプトに掲げたこの列車は、運行開始以来、約19.8キロメートルの道のりを通じて多くの旅人を神秘の山へと誘い続けてきました。


森の息吹と郷土の味に包まれた非日常のひととき

大手私鉄では珍しい展望デッキを備えた車内には、森の冷気と力強い走行音が直接響き渡りました。令和元年(2019)の運行10周年には、地元の名産「はたごんぼ」などを用いた記念弁当も登場し、五感で楽しむ旅を提供してきました。この列車は単なる移動手段を超え、利用者の思い出に残る特別な存在であったのです。


惜しまれつつ迎えた定期運行の終着駅

運行開始から約44万人を運んだ「天空」ですが、令和8年(2026)3月20日をもって定期運行を終了しました。極楽橋駅で盛大な式典が開かれ、多くのファンや利用客がそのラストランを見守りました。今後は旅行会社などを通じた団体専用列車として当面の間、不定期での運行を継続する一方、令和8年(2026)4月24日からは、難波駅から直通運転を行う新観光列車「GRAN(グラン)天空」へと、その上質なもてなしの精神が受け継がれます。


聖地への祈りを繋ぎ、次なる高みへ

ラストランの式典で登壇した南海電鉄の運輸車両部長様は、17年間にわたり運行を支えた沿線地域の方々や乗客へ深い感謝の言葉を述べました。険しい谷間を抜け、トンネルをくぐるたびに現れるドラマチックな風景は、多くの乗客を魅了してきました。世界遺産・高野山への路を静かに彩り続けた「天空」に敬意を表するとともに、新時代を担う深紅の後継車が描く、新たな物語の幕開けを心から祝福したいと思います。

(2026年3月執筆)

PHOTO:写真AC

同じ都道府県の記事

同じカテゴリーの記事

ファイナルアクセス会社サイトはこちら

残り日数で探す

記事ランキング※24時間以内

Final Access Books

注目コンテンツ これが最後です

都道府県から探す