阿仁町立根子小学校 閉校
- 文化・教育施設
隠れ里に灯った120年の学び ― 根子小学校、閉校までの歩み
秋田県北秋田市阿仁根子、四方を里山に囲まれたすり鉢状の盆地に位置する根子集落は、外部から隔絶された「隠れ里」としての景観を保っています。集落の起源には、源義経の忠臣・佐藤継信の家臣がこの地を切り拓いたとする伝承や、平家の落人がたどり着いて定住したという伝説が語り継がれています。この地に根づいた根子小学校は、1998年(平成10年)3月22日、「創立120周年並びに閉校式」を挙行し、その長い歴史に幕を下ろしました。旧阿仁町発行の『広報あに1999年1月号』では、この閉校がその年最大のニュースの一つとして記録されています。
修験の舞、根子番楽が紡いだ文化の記憶
根子集落には、山伏が村々を回って魔を祓った「山伏神楽」を起源とする「根子番楽」が伝わっています。1964年(昭和39年)11月17日に秋田県の無形民俗文化財に指定され、2004年(平成16年)2月8日には国の重要無形民俗文化財に指定されました。民俗学者・折口信夫はその文学的価値の高さを絶賛し、1935年(昭和10年)には東京の「日本民族芸能大会」に出演、1972年(昭和47年)の冬季札幌オリンピックでも披露されています。かつて表舞12演目・裏の舞8演目の計20演目があったものの、現在は9演目が受け継がれ、「露払い」を小学生が舞うなど、世代を超えて伝統が引き継がれています。
体育館に生まれ変わった、伝承の舞台
閉校後、旧根子小学校の体育館は解体されることなく、「根子番楽伝承館」として新たな役割を得ました。毎年お盆の8月14日には定期公演が開かれ、近年は6月下旬にも一般公演が行われています。毎週水曜日の夜には、隣接する根子児童館からお囃子の練習の音が響き、根子地域だけでなく近隣から通う子どもたちも保存会の一員として舞を支えています。
1998年、阿仁町を包んだ出来事の数々
根子小学校が閉校を迎えた1998年(平成10年)は、地域にとって節目の年でもありました。同年2月には鷹巣農林高校の高橋大斗選手が岩手冬期国体で優勝し、4月には第3セクター「マタギの里観光開発株式会社」が営業を開始、8月には皇太子殿下(当時)が大阿仁小学校を訪れ、10月には秋田内陸縦貫鉄道が全線開業10周年を迎えています。閉校から四半世紀以上を経た今も、根子番楽伝承館は集落の記憶を伝える場としてその役割を果たし続けています。
(2026年8月執筆)

懐かしい記憶が蘇るという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

長年に渡り、地域の子供達をお守り頂きありがとうございます。
PHOTO: 廃校5000 様







