三種町立上岩川小学校 閉校
- 文化・教育施設
房住山のふもとに灯った学びの時
秋田県山本郡の山あいに位置する上岩川小学校は、1879年(明治12年)に創立されました。1901年(明治34年)には上岩川尋常高等小学校へと改編され、1947年(昭和22年)には上岩川中学校が併設され、地域の一貫した教育体制が築かれました。1955年(昭和30年)、上岩川村は隣接する鹿渡町と新設合併し琴丘町となり、学校の所在地は同町の大字「上岩川」となります。2006年(平成18年)3月20日には琴丘町・八竜町・山本町の合併により三種町が誕生し、学校名も「三種町立上岩川小学校」に改められました。地域は三種川流域の豊かな山林を背景に、秋田スギの伐採や木炭生産といった林業を主産業としており、児童の家庭の暮らしを支えていました。
雪原に響いたジャンボカルタの歓声
昭和50年代後半に始まった「雪中ジャンボカルタ大会」は、厳しい秋田の冬に子どもたちが屋外で遊べるようにと、上岩川小学校のグラウンドで毎年開催されてきた雪国の名物行事です。抱えるほどに大きな手作りのカルタが使われ、全44枚の絵札には名瀑「扇の滝」や霊山「房住山」といった地域の自然や歴史が描かれていました。2007年(平成19年)1月21日、穏やかな好天に恵まれた第26回大会では、全校児童と保護者が3つのチームに分かれ、雪を踏みしめながら札を奪い合う様子が地域の広報紙に記録されています。房住山は古くから修験者の信仰の霊山として知られ、登山道には文久元年(1861年)に建立された三十三観音の石仏が点在しています。
過疎化の波と、130年余りの歩みの終わり
高度経済成長期の外国産木材の輸入自由化やエネルギー革命により、地域の経済基盤であった林業は衰退期を迎えました。これにともなう若者世代の人口流出と過疎化は、児童数の減少という形で学校に直接影響を及ぼし、2009年(平成21年)3月、130年以上の歴史を持つ上岩川小学校は閉校を迎えました。
「房住里の会」がつなぐ、地域の新しい歩み
閉校という危機に際し、上岩川の15集落は2009年度(平成21年度)に住民組織「房住里の会」を立ち上げ、地元のブランド鶏「岩川地鶏」を使った特産品「ニワダマ鍋」の開発など、地域おこしと伝統行事の継承に取り組みました。閉校からわずか3か月後の2009年6月には、地域の交流拠点として「上岩川ふるさと交流館」が誕生し、この活動は2011年度(平成23年度)に農林水産省東北農政局の「豊かなむらづくり全国表彰事業」で東北農政局長賞を受賞しています。学び舎はなくなりましたが、その歴史は地域住民の手によって次の世代へと引き継がれています。
(2026年8月執筆)

懐かしい記憶が蘇るという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

卒業生・先生・地域住民など関係者様の心の中に、美しい思い出が永遠に記憶されますように。
PHOTO: 廃校5000 様







