セルテ 閉館・解体
- 建物・施設
横浜関内駅前のランドマークとして親しまれてきた商業施設「CERTE(セルテ)」は、1967年11月3日、当時最先端のファッションビル「横浜センタービル」として開業しました。創業当時は、サイケデリックな広告が話題を呼び、12階に入居した伝説的なディスコ「カウベル」からは独自のダンス「ハマチャチャ」が生まれるなど、横浜の若者文化や流行の発信地として一時代を築きました。1989年には大規模な改装を経て現在の「セルテ」へと改称し、その後は食品スーパーや飲食店、クリニックなどを備えた地域密着型の施設として、58年にわたり市民の生活を支え続けてきました。
特に近隣の横浜スタジアムを本拠地とするプロ野球チームとの縁は深く、1998年の優勝時には歓喜の中心地となり、前面の通りが「ベイスターズ通り」と名付けられる契機となりました。設置された記念モニュメント「煌(きらめき)」には当時の優勝メンバー全員の手形が刻まれており、ファンにとって聖地のような存在でした。しかし、建物の老朽化と駅前地区の再開発に伴い、2025年12月30日(火)をもってその歴史に幕を下ろします。跡地は「関内駅前北口地区第一種市街地再開発事業」の一環として、高さ約106メートル、地上20階の高層複合ビルへと建て替えられる計画です。2025年度内には解体工事が着手され、2029年度には商業施設やオフィスに加え、都心居住を推進する高級賃貸住宅を備えた新たな姿へと生まれ変わる予定です。
半世紀以上にわたり、関内の街と共に歩み、変遷を見守り続けた「セルテ」の運営に携わられたすべての方々に、多大な敬意が表されます。利用者の方々も、この場所で過ごした青春の日々や何気ない日常のひとこまを、いま一度心の中で振り返ってみてはいかがでしょうか。
(2025年12月執筆)
PHOTO:写真AC







