Final 2026年1月11日 記事本家尾張屋 閉店のイメージ画像 History 561年

本家尾張屋 閉店

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京都の歴史と共に歩んできた「本家尾張屋」が、一つの時代に幕を下ろそうとしています。創業は1465年、尾張国から渡来した菓子屋としての始まりでした。1702年頃に蕎麦業を開始しますが、そこには当施設ならではの歴史的背景があります。かつて禅寺の修行僧たちは、厳しい修行や瞑想の際の空腹を凌ぐため、蕎麦粉を携行する習慣がありました。やがて寺院内での製麺需要が高まると、「練る・切る」技術に長けた菓子屋へ製造が委託されるようになり、これが同店の蕎麦のルーツとなりました。

また、禅寺との絆は深く、毎月僧侶が本店を訪れて読経し、その後に「点心」として蕎麦を食す習わしが今日まで続いています。御所御用達の「御用蕎麦司」として、あるいは戦後に考案された縁起の良い「宝来そば」を通じ、地域住民のハレの日の食卓として、また多くの人々の思い出の場所として愛され続けてきました。

しかし、2026年1月11日をもって、飲食店舗の長期休業と菓子製造の終了が決まりました。築130年を超える本店建物の老朽化に加え、資材高騰や深刻な人手不足といった複合的な要因が重なったことが原因のようです。現時点で特別なファイナルイベント等は告知されていませんが、最終営業日まで変わらぬ暖簾が掲げられそうです。560年余り、伝統と革新の狭間で暖簾を守り抜いた16代当主をはじめとする運営の皆様に、深い敬意が表されます。ファンの皆様もぜひ、出汁の香りとともに刻まれた、あの場所での温かい記憶を今一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

(2025年12月執筆)

 

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