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碌山美術館碌山館

  • 文化・教育施設

碌山美術館碌山館は、長野県安曇野市に位置し、日本近代彫刻の先駆者として知られる荻原守衛の作品と資料を保存・公開するために設立された美術館です。その歴史は、碌山が1910年に急逝した直後、東京・新宿中村屋敷地内にアトリエが移築され「碌山館」として遺作が公開されたことに始まります。1917年には、碌山の遺品や作品が故郷・穂高の荻原家にも運ばれ、家族の手で「碌山館」が建てられ、地域の人々にも公開されました。

戦後、碌山の芸術を広く伝える機運が高まり、1953年には地元教育会が「荻原碌山研究委員会」を発足。研究や作品保存の活動が進められ、1955年には作品のブロンズ化が実現しました。こうした動きが財団法人碌山美術館設立委員会の結成につながり、東京芸術大学や東京国立博物館などの協力も得て、寄附金が広く募られました。特筆すべきは、長野県内の小中学生をはじめ約30万人もの人々が寄附に参加し、地域住民や生徒たちが建設作業にも携わったことです。

1958年4月、碌山美術館は北アルプスの麓・安曇野に開館しました。本館「碌山館」は、著名な建築家・今井兼次が設計し、教会建築を思わせる尖塔や焼き過ぎレンガの外壁、半円アーチ窓など独自の意匠が特徴です。館内には碌山の彫刻15点や絵画、資料が展示され、現在も日本近代彫刻の流れと発展を伝える拠点となっています。地域では碌山館の尖塔がシンボルとなり、文化的ランドマークとして親しまれています。

現在、碌山美術館は公益財団法人によって管理・運営され、荻原守衛の精神と芸術を未来へと伝え続けています。地域の人々と利用者の熱意、そして管理者の尽力に深く敬意を表します。碌山美術館碌山館を訪れ、近代彫刻の歴史と安曇野の文化に触れてみてはいかがでしょうか。

(2025年7月執筆)

PHOTO:写真AC

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