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旧高善旅館

  • 建物・施設

遠野市に位置する旧高善旅館は、明治時代初期に建てられた木造二階建て、瓦葺の建築で、建築面積はおよそ243平方メートルです。遠野城下町の中心に所在し、当時は地域を代表する旅館として、要人の宿泊先としてその名を馳せました。東側は通り土間や広いミセ、吹き抜けの常居が整然と並ぶ典型的な町家構造で、明治後期には西側に威厳を感じさせる入母屋造の増築が施されました。そこで格調高い石敷き玄関と大階段、二階には床を備えた客室を配置し、近代的な和風旅館へと進化しました。

大正期から昭和初期にかけて、民俗学の父と称される柳田国男が「遠野物語」の執筆のためたびたび滞在し、この旅館は彼にとって定宿であると共に調査の拠点となりました。折口信夫や言語学者のネフスキーなど国内外の学者たちも宿泊し、遠野民俗研究の舞台として重要な役割を果たしました。

現在、この建物は「とおの物語の館」の一部として保存・公開され、建築そのものの趣や歴史的背景を伝える場となっています。そして2023年、国の登録有形文化財として正式に認定され、その価値が改めて評価されています。この旅館を運営し保存に尽力されている皆さまに心から敬意を表します。

(2025年8月執筆)

PHOTO:PIXTA

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